フードバンクへの寄附

posted by 2020.07.29

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 国税庁に「文書回答手続き」という制度があり、業界からの一般的な質問に対して国税庁が回答し、関係する納税者のために公開する仕組みです。
最近、公開があった事例として『野菜の生産者等がフードバンク等に無償提供した場合、寄附金に該当するか』という質問がありました。

 寄附金を支出した場合、何でも経費になるわけではなく限度があります。
これは無制限に経費化を認めると、税金を納めずにやたら寄附金する人が出てくるためです。
寄附の限度額は、寄附の受入側の形態、寄附する側の資本金や所得によって決まります。

 

【今回の質問】

生産者や農協等が価格安定のための需給調整として、フードバンク等の福祉団体に食材を無償提供した場合は寄附金に該当するかどうか。

【国税庁の回答】

農水省が公表する次の要件を満たしていれば、実質的に商品廃棄の一環として有効利用されたものとして寄附金とは扱わず、経費として損金算入できる。

・食品提供者とフードバンクの間に、提供した食品の転売等の禁止や、その食品の取扱いに関する情報の記録及び保存、結果の報告などのルールを定めた合意書を取り交わしている

・合意書により、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されている

 

 回答としては至極真っ当で「そらそやろな」という感じですが、お墨付きをもらうために質問をしている面もあります。ちなみに質問しているのは当の農水省です。

 

 ところで、少し脱線しますが『フードバンク』って何なんでしょう?

「フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です(一般社団法人フードバンク全国推進協議会のHPより)」。

 元々アメリカで始まった活動で日本では2000年以降に団体が設立されています。
コロナの影響で行き場を失った”もったいない”食材が出てきたことで改めて注目されています。

 日本で最初の団体は「セカンドハーベスト・ジャパン」で、現在では全国約80の団体で活動が行われています。
認定NPO法人の形態で行なわれているところが多く、企業や個人から食材の提供、金銭での寄附、ボランティアでの参加を募集しています。
集められた食材は、行政と連携して福祉施設や生活困窮世帯へ無償提供されています。

 個人単位でも参加可能で、郵送が原則ですが、近所のスーパーで食材を募集しているところもあります。
寄附できる食材の条件として、未開封、常温保管可能、賞味期限が1か月以上残っていることなどがあります。

 認定NPO法人に金銭で寄附した場合には、個人であれば所得控除又は税額控除(40%)、法人であれば寄附金限度の優遇(対一般企業の3~4倍程度)があります。

 

 ご興味を持たれた方はお近くのフードバンクを探されてみてはいかがでしょうか。