電子申告義務化と情報共有

posted by 2020.07.27

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 大企業の電子申告が令和2年4月1日以後開始事業年度から義務化されています。
対象税目は法人税(地方法人税含む)、消費税(地方消費税含む)、法人住民税、法人事業税で、事業年度でいうと令和3年3月決算からになります。
中小企業については特にいつからとは決まっていませんが、法人税の電子申告率が8割を超えており、税理士に依頼している割合が約9割であることを考えると数年後には義務化される可能性もあります。

 

 電子申告の義務化とは直接関係はありませんが、電子で最初からデータ化されることを見込んで、法人税の申告データが自動的に都道府県や市町村に提供されるようになります。
これは令和2年4月1日以後終了事業年度からなので、具体的には令和2年2月決算から開始され、大企業、中小企業といった区分は関係なく、すべての法人が対象です。
従来は地方自治体から税務署に依頼して情報を取得していましたが、そうした手間もなく、eLTAXを通じて自動的の法人税の申告データ全体が共有されます。

 

 このことは納税者と地方自治体に次のような影響があります。

<納税者>
地方自治体への提出書類が少し減る(別表や財務諸表の添付書類)

<地方自治体>
・償却資産税の調査に有効

 

 償却資産税は、固定資産税の一種で設備、機械、器具備品などを対象に1.4%課されます。
土地や建物のように登記がなく、地方自治体には情報が少ないことから、課税漏れが生じていました。
税務署に問い合わせれば調査は可能ですが、一々対象を決めて問い合わせるのと自動的にどんどん情報が蓄積されるのとでは調査効率が全く異なります。

 納税者側では償却資産税について、間引いて申告したり、新設事務所について指摘されるまで申告しないような事例も見受けられましたが、今後はすぐに把握されると思っておいた方がいいでしょう。

 

 償却資産税の申告は12月に締めて1月末に申告しますが、年末年始をはさむこと、年末調整など他の業務と時期が重なることから、資産の増加を完璧に把握することが難しい面もあり、それが原因で漏れていることもあります。
償却資産税の申告時期は法人税の申告期限と合わせてはどうかという意見は以前からあるだけに、情報共有制度をきっかけにこの議論は再燃するかも知れません。