免税店の電子化義務

posted by 2020.01.29

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 免税店、税法上は「輸出物品販売場」と言いますが、その手続きが令和2年4月から電子化されます。
法人税や消費税申告の電子化は資本金1億円以上の大法人が対象ですが、免税店に関しては規模に関わらず電子化が強制されます。
しかも、経過措置が終了する令和3年10月1日以後は電子化していないと免税販売ができなくなります。
すべての免税店が対象になるだけにどう変わるかを確認していきます。

 

<現状の手続き>

① 旅行者:パスポート提示

② 旅行者:購入者誓約書の提出

③ 免税店:購入者記録票をパスポートへ貼り付け

④ 旅行者:出国時に税関で③を提出

 

<電子化後>

① 旅行者:パスポート提示

② 免税店:必要事項の説明

③ 免税店:購入記録情報をすぐ国税庁へ送信

④ 旅行者:出国時にパスポート提示

 紙でのやり取りがなくなり、電子化された旅行者の情報は国税庁を通じて即座に税関に伝わります。
電子化により、旅行者・免税店とも手間が減り、紙の保管書類もなくなります。

 

<準備>

① 税務署へ届出書提出(免税店ごと)

② 税務署から識別符号と電子証明書を交付

③ システム構築とソフトウェアのセットアップ

 電子証明書は銀行の証明書のようなもので、特にカードは不要でパソコンに記録させる形になると考えられます。
ソフトウェアについては仕様が公開されているので自社で構築してもいいですし、アプリなどもすでに出ているようです。

 

<注意点>

・届出は免税店ごとに必要ですが、国税庁への情報送信は本社で集約した上で送ることができます。

・情報送信は「遅滞なく」送ることとされており、1日1回夜に送る、というのは認められません。販売直後に送信するイメージです。

・購入記録情報は電子帳簿に耐え得るレベルで7年間保存が必要です。

免税品を購入した旅行者への説明は文書を渡したり、紙を貼っておくだけではダメで、内容確認を促して確実に説明する義務があります。

※説明内容

・商品が輸出するために購入されるものである旨
・出国時に税関でパスポートの提示が必要である旨
・出国時に商品を持っていなければ消費税を徴収される旨

 

<経過措置>

・令和3年9月30日までは書面による免税販売も可能。

 経過措置が終了すると電子化できていないと免税販売自体ができなくなります。
いずれやらないといけないことなので、早めに取り組むようにしましょう。