消費税の予定納税と中間申告

posted by 2020.01.28

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 前回の続きで消費税の予定納税について見ていきます。

 消費税の納付額が一定額を超えると翌年に予定納税の義務が発生します。
回数については前年の消費税によって決まります。
分かりやすくするために個人と同じ12月決算で考えます。

① 年48万円(国税のみ)以下:なし(任意で申告も可)

② 年48万円超400万円以下:1回(8月末)

③ 年400万円超4800万円以下:3回(5.8.11月末)

④ 年4800万円超:11回(毎月)

 

① 年48万円以下

 地方消費税も含めると10%の場合、年間税額で約62万円以下になります。
端数が出るのは5%時代を基準に60万円(国税48万円、地方税12万円)を決めて、増税後も国税の48万円部分を変えていないためです。
なお、48万円以下であっても任意に前年の半分を払うこともできます。

 

年48万円超年400万円以下

 地方消費税も含めると年間税額で約62万円超約512万円以下になります。
年間で約62万円を超えると、翌年の半期+2か月後に前年の半分を納める義務があり、決算期末から2か月後に残りを払います。

 

③ 年400万円超4800万円以下

 地方消費税を含めると、年間税額で約512万円超約6154万円以下になるため、だいたいの中小企業はここまでの金額に納まると思います。
納期限は3か月ごと+2か月後に3回あり、4回目が決算期末から2か月後になります。

 

年4800万円超

 地方消費税を含めると、年間税額で約6154万円超になります。
この規模になると毎月予定納税の義務があり、11回払うことになります。
ただし、年の初めは前年決算がまだ終わっていないため、12月決算であれば1月分、2月分を合わせて4月末に、個人であれば1~3月分をまとめて5月末に納めます。

 

<中間申告>

 ②③④については、自動的に前年の半分、1/4、1/12を払う予定納税ではなく、今年の実績を計算して正味で納税することもできます。
この場合、ミニチュア版の決算作業をすることになり、手間はかかりますが、前年が特殊事情により消費税が多かった場合などは、中間申告することで必要以上の前払いを抑えることができ、資金繰りはしやすくなります。

 

<用語の補足>

 文中では、前年の年税額に応じて自動的に払わないといけない分を「予定納税」、今年の実績で計算する分を「中間申告」と説明しています。
正確には税法上はどちらも「中間申告」で、今年の実績で計算する分を「仮決算に基づく中間申告」と言います。

 

 消費税が10%になったことで納税額は増えています。
特に増税直後は予定納税が少なめなので、決算時に払う消費税がいつもより多くなります。
年間の納税額を予想して定期的に積み立てるなどして備えましょう。