令和2年度税制改正大綱 ④ 譲渡所得・固定資産税

posted by 2019.12.19

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 税制改正大綱4回目は個人の不動産に関する譲渡所得固定資産税について見ていきます。

 

(1)低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除(減税)

<概要>
 都市部にある未利用の土地の有効利用を図るため、譲渡益から100万円を控除できる制度が創設されます。

<主な要件>
・低未利用土地等であることについて市町村長の確認がある。
・1/1時点の所有期間が5年超
譲渡対価が建物含めて500万円以下

<適用時期>
・土地基本法等の一部を改正する法律施行日と令和2年7月1日のいずれか遅い日~令和4年12月31日

 

(2)国外中古建物の不動産所得に係る損益通算の特例(増税)

<概要>
 国外不動産については長く利用されるものが多く、耐用年数を経過していても賃貸物件として流通しているものが少なくありません。
このような中古建物については償却費が大きいため、不動産所得がマイナスとなり、国内の所得と損益通算する節税が行われています。
そこで国外不動産所得の損失のうち、償却費に相当する部分はなかったものとされます

<適用時期>
令和3年分以後

 

(3)所有者不明土地等に係る固定資産税

<概要>
 登記が放置されているなど所有者が不明な土地や建物について固定資産税が課税できない事態が発生しているため、現に所有している者に申告させることにより固定資産税を課税できるようになります。
また調査しても所有者が一人も明らかにならない場合には使用者を所有者とみなして固定資産税を課税できるようになります。

<適用時期>
現所有者への課税は令和2年4月1日以後の条例の施行日以後
使用者への課税は令和3年分以後

 

(1)と(3)に関しては空き家問題の解決に向けての手当と言えます。
(2)に関しては以前から行われていたアメリカなどの海外不動産を利用した節税にきっちりフタをするもので、今後の不動産市況にも影響を与えそうです。