令和2年度税制改正大綱 ⑤ 設備投資

posted by 2019.12.20

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 税制改正大綱5回目は設備投資に関する内容を見ていきます。
この中には、新しい産業に向けて設備投資を促進する減税もあれば、内部留保を使ってもらうために要件を厳格化する増税に近いものもあります。

 

1.第5世代移動通信システム(5G):減税

<概要>
 Society5.0(AIや自動運転が普及する超スマート社会)の実現に不可欠な5Gシステムを構築するために従来より大型の特別償却又は税額控除が創設されます。

<内容>
基地局整備や機械などで主務大臣の確認を受けたものが対象。
30%特別償却または15%税額控除(法人税の20%が上限)
・地域課題の解決に資するローカル5Gについて固定資産税の特例措置を創設する。

<適用時期>
特定高度情報通信システム普及促進法の施行日~令和4年3月31日

 

2.内部留保から設備投資への誘導:増税

<概要>
 大企業の内部留保が増加し続けていることから、設備投資に消極的な企業については従来以上に研究開発税制などの税額控除規定が使いにくくされます。

<内容>
大企業の国内設備投資額が償却費の10%超必要⇒30%超必要に引き上げ

賃上げ及び設備投資の税額控除については設備投資が償却費の90%以上必要⇒95%以上必要に引き上げ

 

3.措置法特別償却の整理:増税

<概要>
 租税特別措置法による設備投資の減税策について、利用状況などを踏まえて縮小されるものがあります。

<内容>
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入:従業員要件を1000人以下から500人以下に引き下げて2年延長。

・革新的情報産業活用設備の特別償却又は税額控除、情報流通円滑化設備の特別償却、企業主導型保育施設の割増償却制度等について、適用期限の到来をもって廃止されます。

 

 租税特別措置法による減税は期間限定なので、いつまで使えるか、要件が変更されていないか、といった点に注意が必要です。