令和2年度税制改正大綱 ③ NISA拡充

posted by 2019.12.18

nisa

 税制改正大綱3回目は個人所得課税のうち、投資促進策について取り上げます。
人生100年時代を迎え、家計の安定的な資産形成を促進する観点からNISAが拡充されます。

 

(1)2階建てNISAの創設

<概要>
 従来のNISAは年間120万円、5年で600万円までの株式投資に係る運用益が最長10年間非課税とされる制度でした。
従来のNISAの投資期限が2023年末であるため、5年延長した上で、新NISAも導入されます。
新NISAは2階建てで、1階はリスクの低い投資信託などによる積立て、2階は従来と同じような上場株式への投資枠とされます。
2階に投資できるのは、1階に投資した人または投資経験のある人が条件で、段階的に投資に取り組んでもらおうという狙いがあります。
年間の投資限度額は1階が20万円、2階が102万円、5年で総額610万円を非課税で運用することができます。

<適用時期>
2階建て新NISAは2024年(令和6年)から

 

(2)つみたてNISAの期間延長

<概要>
 つみたてNISAは投資信託やETFなど金融庁が定めた要件を満たす商品に投資した場合、年間40万円、最長で20年間の運用益が非課税となる制度です。
早く投資を始めて欲しいので2037年が投資期限とされていましたが、改正で5年延長されるので今始めても20年間の非課税期間が保証されます。
なお、つみたてNISAと2階建てNISAの1階部分と似た部分もあるため、いずれかの選択になります。
また、つみたてNISAの未成年版である「ジュニアNISA」はあまり普及しなかったため、当初の期限である2023年で終了します。

<適用時期>
つみたてNISAの投資期限を2042年まで延長

 

(3)イデコの期間延長

<概要>
 個人版の確定拠出年金であるイデコは投資期限が60歳まででしたが、65歳までに延長され、受取開始期間についても従来60~70歳でしたが、70歳以後も選べるようになります。
また従来は企業型確定拠出年金との併用は難しかったのですが、労使合意を不要にして、企業型に加入していても掛金合計で5.5万円までイデコを併用できるようになります。

 

 2階建ての新NISAは従来のNISAとつみたてNISAを合体させたような仕組みになっており、段階的に投資に取り組んでもらおうという狙いは分かるのですが、より複雑になったような気もします。
節税という観点では、イデコが有利であることは変わらないので、改正内容も考慮して活用方法を検討していきたいところです。