J-REITとは

posted by 2019.08.27

tatemono_buildings

 J-REITでM&Aの是非を巡る委任状争奪戦が話題となっていますが、そもそも「J-REIT」とはどんなものなんでしょうか。

 一言でいうと”不動産を対象とする投資信託」は”日本版”「REIT」eal state nvestment rust(不動産投資信託)”の略です。

 

 元々はアメリカで普及していましたが、日本では2001年に誕生しました。その後の推移を2019年7月と比較すると次のようになっています。

・銘 柄 数:2銘柄   ⇒63銘柄

・時価総額:2300億円⇒15.2兆円(660倍)

・物 件 数:44物件  ⇒4046物件

・投資利回り:5.38%⇒3.73%

 2008年頃の金融危機時には銘柄数、時価総額とも減少しましたが、2012年以降の景気拡大期においては増加傾向にあります。

 

 J-REITへの投資は株式投資と比べて、あるいは不動産に直接投資する場合と比べてどう違うのでしょうか。
J-REITには次のような特徴があります。

 

① 税制優遇
 一定要件を満たせば、J-REITには”導管性”という税制優遇が認められます。
通常の会社であれば、売上から経費を引いた差引利益に対して法人税が課税され、その税引後利益を配当します。
配当を受け取った法人や個人でも税金が課税されるので、二重課税の状態になります(調整する仕組みはありますが、すべて解消されるわけではありません)。
これに対してJ-REITは不動産収入から経費を引いた利益を分配するのですが、この分配金も経費になります。
つまり(管を流れるように)すべて分配すれば法人税は0円になるため、法人税分の利回りは良くなります。

 

② 安定性とリスク分散
・賃貸収入が収益源なので一般の事業会社よりは収益が安定します。
利益の90%超を分配するのがJ-REITの前提条件です。
複数物件の所有、あるいは用途の多様化(オフィスビル、商業施設、住居、ホテルなど)によりリスク分散が図れます。
・実物不動産に比べ、少額で投資できます。
・賃料が物価に連動するため、インフレに強いと言えます。

 

③ 利回りが比較的高い
 時価(投資口価格)が変動するため、利回りも常に変動しますが、ここ2年ほどは4%前後で推移しています。
直接不動産に投資する場合に比べると低いですが、定期預金や上場株式配当(2%台)と比べると高くなっています。

 

 J-REITはNISAやiDeCoに採用されるなど投資初心者にもとっつきやすい面がありますが、上場株式と同様の価格変動、上場廃止、倒産リスク、災害や金利変動による分配金の減少リスクなどもありますので、内容を理解しつつ、投資するようにしましょう。