輸入と消費税②

posted by 2019.08.22

boueki_yunyuu

 前回の続きで輸入の際の消費税の控除について見ていきます。
輸入をした場合には税関を通す際に申告して「引き取りに係る消費税」を払います。
では少しイレギュラーですが、実務で見かける次のようなケースはどうなるのでしょうか。

 

(1)輸入手続きを委託して実費負担する場合

① 前提

・ボリュームが小さく手間かかるので輸入業務を他社(A社)に委託
輸入申告はA社名で、輸入消費税の納付もA社
・当社は関税や輸入消費税の実費をA社に支払い

② 取扱い

輸入消費税の控除は認められません。
・単なる国内仕入れになります。
・本体価格と輸入消費税等の合計を税込み国内仕入れの金額と考えると結果として仕入税額控除は可能です。
・ただし、インボイス方式が導入されると税込み国内仕入れという考え方は取れなくなります。

 

(2)グループ会社の枠を使って輸入する場合

① 前提

・チーズなどの乳製品や靴などの革製品等については国内産業保護のために一定数量を超える輸入は関税が高くなります
・そのため、グループ会社(B社)の枠を使って仕入れることがあります。
輸入申告はB社がしますが、本体代金も輸入消費税もすべて当社が負担
輸入許可証や消費税の領収書は当社で保管

② 取扱い

実質的に輸入しているのは当社であるため、輸入消費税の控除が可能。
・ただし関税定率法などにより輸入申告者の資格が限定される場合などに限られるので、他社の名義であれば何でもOKというわけではありません。

 

 消費税は”払ってさえいればOK”というほど単純なものでないのと、今後インボイス方式の導入により控除との関係も厳密になっていくので、現状の輸入取引で本当に仕入税額控除ができるかどうか再点検しておきましょう。