”免税事業者に課税 軽減税率、財源1兆円確保へ”
という新聞記事の見出しがあったので、消費税の免税事業者に新たに増税を行なうのかと思いましたが、正確には『誘導する』話で前から決まっている内容でした。
順を追って内容を見ていきます。
まず後半の”軽減税率、財源1兆円確保へ”ですが、来年10月の消費税10%値上げと同時に導入される軽減税率の財源のことです。
消費税は1%上げれば税収は1兆円増える計算なので2%上げると2兆円の増収のはずでそれをアテにして使いみちを読んでいます。
ところが飲食料品や新聞に8%の軽減税率を適用すると税収は1兆円減るのでその分をどう穴埋めするかという話になってきます。
・4千億円:低所得者の医療や介護の負担を軽くする総合合算制度の見送り
・3千億円:たばこ増税と給与所得控除の縮小
・1千億円:社会保障の効率化や給付の見直し
・2千億円:免税事業者への課税
上3つも気になりますが、問題は最後の「免税事業者への課税」
現状では基準期間(2年前)の課税売上高が1000万円以下であればたとえ消費税を受け取っていても納税義務は免除されます。
一方仕入れる側では相手が免税事業者かどうかは気にする必要がありません。10,800円の請求書であれば800円を控除しますし、10,000円であっても10,000円×8/108=740円を控除します。
ところが軽減税率との関連で2023年10月から導入される『インボイス方式』になると計算が変わってきます。
と言うのも仕入れの際に消費税を控除するにはインボイスが必須になり、免税事業者はインボイスを発行できないためです。
同じ金額の仕入れであれば、インボイスでない場合は実質消費税10%値上げしたことになり、取引から排除されてしまいます。
そのため、1000万円以下の免税事業者であっても課税事業者を選択するはずでその分税収が増える、という算段です。
ただ顧客が消費者であれば仕入れの控除は関係ないですし、そう思惑通り行くかなというのはあります。
インボイス方式の詳細と経過措置については次回へ続きます。