法人成りと退職金の損金算入時期

posted by 2018.03.29

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 昨日の続きで”法人成り”した場合の注意点を見ていきます。
今回取り上げるのは<退職金>の取扱いです。

 

<退職金>

 個人事業を18年続けてきて法人成りしたとします。
法人になってから7年後に創業時から働いてくれたAさんが退職しました。
Aさんの長年の貢献に対して2500万円の退職金を出す場合、これは法人の経費にしてもいいものなのでしょうか(Q1)。
また退職金はもらう方で勤続期間に応じた軽減がありますが、勤続期間は7年か25年かどちらになるのでしょうか(Q2)

 

Q1 退職金は法人の経費か個人の経費か。

A1 全額法人の経費にできます。

本来は個人1800万円、法人700万円と区分すべきところですが、法人設立後、相当期間(5年)が経過していれば全額法人の経費にできます。
なぜ5年かと言うと、5年経っていなければさかのぼって個人の申告を変えられるためです。
5年以内であればさかのぼって個人の申告を変える「更正の請求」を行ないますが、法人との間で退職金負担の精算を行なう必要があります。

 

Q2 もらったAさんの勤続期間は7年か25年か。

A3 条件付きで25年で計算できます。

法人の退職給与規程に「個人の勤続期間も通算して退職金を計算する」旨が定めてあれば25年で計算できます。
控除額は7年なら280万円、25年なら1150万円なのでAさんの税金は大きく変わります。
この取扱いは勤務先に営業譲渡があった場合や関連会社間で移動した場合にも適用があります。

 

 ちょっと特殊な事例ですが、法人設立して数年以内の退職金については法人で全額経費にできるとは限らないので注意しましょう。