ネット取引はばれるのか ③ 実地調査編

posted by 2018.02.22

0c55695c8afbd0867714db6c8f47e40d_s

 前回の続きで「電子商取引専門調査チーム」が集めた情報に基づいてどう税務調査をしているか見てきます。

 

 各地の税務署や国税局でも電子商取引について調査はしますが、専門チームが直接調べるのは次のような事例です。

① 先端領域における取引実態の解明及び調査手法の開発が必要な事案。

② 複雑な不正計算が想定され、その解明に高度な調査手法を要する事案。

③ 局又は署の情報技術専門官等から調査支援依頼があった事案。

 

 に関しては、脱税や租税回避があるかどうかという点以外に新しい取引であるがゆえに実態が分からないものを解明して今後につなげる、という観点もあります。
例えば最新の事例であれば、仮想通貨がどういうお金の流れをするかとか、マイニングがどういうものかなど確認することによってノウハウを積み上げていきます。

 ②③に関しては何かしら疑念がある事例に対して動くイメージです。
例えばプロバイダや仲介業者から任意で集めた情報と実際の申告が大きく違う場合や無申告の場合です。

 

 従来の税務調査現場に行って証拠を押さえることが重要でした。
映画『マルサの女』であったような除外した売上をどこに隠しているかとか二重帳簿を見つけ出すといったようなことです。

 ところが電子商取引に関してはネット上で行われていて実態がつかみにくいですし、仮想通貨にいたっては実態がなく”仮想”です。
それだけに実地調査前の事前情報でどれだけ目星をつけておくかが通常の税務調査以上に重要になってきます。

 捉えどころのない電子商取引を何でつかむかと言うと、銀行を通じた送金や円への換算など表に出たところや胴元・仲介業者からの情報です。
電子商取引に関連して実地調査があるときは、そういった情報をある程度つかんでから来ていると思っておいた方がいいでしょう。

 

 「ネット取引はばれるのか」ということで書いてきましたが、結論としてはバレます。
実態が分かりにくく脱税の温床になる可能性があるだけに国税庁も必死です。
たまたま少額なため調べられていない、まだ時効期間内なのですぐには来ない、ということはあります。

 現状では高額な事案を見せしめ的に調査したり、申告が必要であることを啓蒙している段階ですが、将来的には支払調書制度やマイナンバーも活用して漏れなく把握する仕組みができていきそうです。