自宅の購入資金など身内からお金を借りることがありますが、「借りた」のか「もらった」のか区分があいまいな場合があります。
「借りた」つもりなのに「もらった」と認定された場合には多額の贈与税が発生するので取扱いには注意が必要です。
<判定のポイント>
1.書類の有無
・契約書で返済条件(期日、返済額、返済方法など)が明確。
・ある時払いの催促なし、は事実上の贈与。
・返済条件が現実的かどうか(返済不可能な条件だと返済を想定していないという疑義)。
2.返済の有無
・契約書通りに返済されているかどうか。
・現金払いより振込みがベター(返済の証拠能力)。
3.利子の有無
・無利子だと利息分の経済的利益が贈与扱い。
ただし利子が少額であれば贈与にならない。
・有利子の場合、貸し手が雑所得として申告しているかどうか。
ポイントとなっているのは第3者との間であれば当然満たすであろう条件ばかりなので身内だからといって「なあなあ」にしないことが”贈与”と認定されないためには重要です。
身内の間でのお金の貸し借りは外からは見えにくい部分ですが、税務署はどうチェックしているのでしょうか。
すべての貸し借りが贈与かどうかをチェックするのは事実上不可能なので相続の時や自宅購入など大きなお金が動いた時に重点的にチェックしています。
相続税の調査の際には過去3年ないしは6年のお金の動きが贈与に該当しないかをチェックします。
・3年:相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算する必要があるため。
・6年:贈与税の時効が6年であるため。
自宅購入など大きなお金が動いた時には税務署から”お尋ね”が届くことがあります。
登記情報から自宅を買ったことは把握できるので、資金の出所が住宅ローンなのか自己資金なのか、身内から借りたのかなどを”お尋ね”で確認します。
商売をしている人であれば自己資金の額が確定申告から想定される貯蓄額と大きくずれないかもチェックしています。
例えば所得税の確定申告が毎年赤字なのに自己資金が何千万もあると、売上げのもれがあるのではないか、という見方につながります。
親しき中にも礼儀あり。
身内であっても第3者とのやり取りに置き換えて考えて、贈与税がかからないように気をつけましょう。