先日の新聞報道で「ITデータの強制収集に向けて法改正」という記事がありました。
税務調査実況中継の番外編としてパソコンやメールに関する調査について取り上げます。
現状ではパソコンやクラウド上にある情報に関して税務署は強制的に調査する権限がありません。
と言うのも脱税調査に関する法律である国税犯則取締法が70年近く改正されておらず、当然ですが70年前にはパソコンもクラウドも想定されていなかったためです。
実際の調査はどうかと言うと確かに調査官が勝手にパソコンを触ることはありません。
情報が必要な場合は
「こういうデータを抽出して出してもらえませんか」
「証拠となるメールはありませんか」
「パソコンを少しさわらせてもらっていいですか」
と依頼して任意で情報を提供してもらうことになります。
任意なので当然拒否はできますが、ムキになって拒否するとかえって怪しいので情報を吟味しながら提出しています。
改正後は調査官がパソコンを差し押さえた上で同意なくデータを複写したり、クラウドの運営会社に情報提供を要請できるようになる見込みです。
改正されるのは脱税を前提としたマルサの調査を想定したものなので通常の税務調査はそこまで厳しくはならないと思われますが、マイナンバーも含めてデータ社会は様々なことが丸裸にされているような気もしてきます。
改正は年末の税制改正大綱に盛り込まれ、2017年度からの実施が見込まれています。詳細が分かりましたらまた取り上げたいと思います。