遺言の解説というと「3種類あってこんな違いがあって、より確実な公正証書遺言を作りましょう」というのが一般的です。
ただ公正証書遺言を作ればすべて安心というわけではありません。
公証人の先生は遺言者の要望に沿って法的に有効かどうかという観点で作成されるので「こんな文言を入れたらいいよ」とかアドバイスしてくれるわけではありません。
そこで遺言を作る上でより突っ込んだ「ホントの」注意点をご紹介していきます。
<前にも遺言を作ったことがある>
遺言が複数ある場合はあとで作ったものが優先します。
これはより新しい意思表示が優先されるためです。
書き直した場合に「全財産をAにあげる」を「全財産をBにあげる」に変えた場合は分かりやすいですが部分的に変えた場合はどうなるのでしょう。
この場合は変わった場所だけが変更になり、それ以外の場合は前の遺言が有効です。
同じような理屈で、遺言に書いたものを売ったり、贈与した場合にはその部分だけが取り消され他の部分は依然として有効です。
何度も書き直した場合は、一体どの内容が有効か分からなくなってくるので、一旦前の遺言を全部取り消す書き方があります。
「平成○○年○○月○○日作成の遺言は全部取り消す」というように書いて、その上で今回の遺言を作成すれば内容が明確になります。
<遺言に書いてない財産が出てくるかも>
遺言の書き方として包括遺贈と特定遺贈というものがあります。
包括遺贈は「全体の2/3を兄に、1/3を弟に」というように割合を指定する方法です。
これに対して特定遺贈は「土地Aを兄に、土地Bを弟に、預金はC銀行D支店を兄に…」というように1つ1つ指定する方法です。
遺言を作成してから亡くなるまでの間に財産の内容は変化するので遺言に書いてない財産が出てくることがあります。
特定遺贈の場合、書いていないものは遺産分割協議が必要になります。
せっかく遺言を作って遺産分割協議をいらなくしてるのにこれでは意味がありません。
そこで次のような書き方をして全財産を網羅できるようにしておきます。
「その他一切の財産は兄に相続させる」
「上記以外の財産は兄及び弟にそれぞれ1/2ずつ相続させる」
長くなったので残り2つは次回へ続きます。