遺言のホントの注意点②

posted by 2016.09.12

isyo_obaasan

 前回の続きで遺言を作る際の突っ込んだ注意点について見ていきます。

 

<遺留分を意識しないと意味がない>

 「全財産を兄Aに相続させる」と書いても弟Bにも遺留分があるのですべて兄Aがもらえるとは限りません。
遺留分相続人に最低保証されている権利で法定相続分の半分です。
兄弟2人なら、法定が1/2なのでその半分1/4の権利があります。

遺言で何ももらえなかった場合、弟Bは遺留分減殺請求の手続きにより1/4を兄Aに請求することができます。
3/4は守れるとは言え、これではもめているのと変わりませんし、遺言では何ももらえなかった弟Bもいい気分ではありません。

 そこで遺言を作る時はあらかじめ遺留分を考慮した分け方にしておきます
そうすると遺留分減殺請求をすることもできず、遺言者の遺志がそのまま実行されます。

 

<神のみぞ知る順番>

 「全財産を妻Cに相続させる」と書いていても夫より妻Cが先に亡くなることもあります。
再度作成できればいいですが、その時の状況(認知症など)によっては作成できないことがあります。
そこでもらう人が先に亡くなる場合に備える予備的遺言を作っておきます。具体的には次のように書きます。

 「妻Cが遺言者の死亡以前に死亡(同時死亡を含む)した場合にはDに相続させる」

 予備的遺言は子供がいない夫婦で作られることがあります。
子供がいないと財産は兄弟に行くのですが、兄弟と疎遠で近所に住んで面倒を見てくれた姪にあげたいというようなケースです。
この場合に予備的遺言をしておけば、まずは妻Cで、その時に妻が亡くなっていれば姪Dというような指定が可能です。

 

 せっかく遺言を作るのであれば円満に相続が完了するように様々なケースを想定しておきましょう。