消費税の軽減税率についての議論が進んでいます。
年末の税制改正大綱に盛り込まれ、消費税が10%に上がる平成29年4月から導入される可能性があります。
軽減税率導入のメリットは消費者が払う消費税が減ることですがデメリットとして次のようなことが言われてきました。
① 線引きの難しさによる混乱と利権につながる恐れ
② 税収の大幅減(軽減範囲を広くした場合)
③ 多く使う人が多く軽減されるので低所得者対策にならない
④ システム投資や事務負担の増加
今回の政府案はデメリットへの対策がある程度取られています。
① 線引きの難しさによる混乱と利権につながる恐れ
酒を除く全ての飲食料品を対象としたので生鮮食品だけなどの案に比べ、線引きはしやすくなっています。
残る線引きは持って帰るかその場で食べるかで税率が変わる点です。
② 税収の大幅減(範囲を広くした場合)
③ 多く使う人が多く軽減されるので低所得者対策にならない
今回の案は税収が減って困るはずの財務省がまとめています。
これはどういうことでしょう?
その対策としては還付の手続きの際に所得によって差をつけるようです。
所得が高い人は還付額を抑えることで税収減を食い止める内容です。
この案はさらに③の低所得者対策にもなっています。
多く使う人が多く軽減される状態をなくすことで消費税が持つ逆進性を緩和しています。
④ システム投資や事務負担の増加
この問題は残ります。
政府としてはどうせ10%で値札で付け替えるし、集計についても会計ソフトで何とかなるだろうと考えているのかも知れません。
還付の手続きについては「年末調整や確定申告」と報道されています。
「確定申告」となると申告数が大幅に増えて税務署が大変なことになるのですが「年末調整」となっているということは企業にその負担が来るということです。
今回の案を裏読みすると見えてくるのがマイナンバーとさらなる税率アップ。
買い物の際にマイナンバーをかざして集計して還付に使うという案が検討されています。
還付の必需品にしてマイナンバーを普及させようという意図が垣間見えます。
さらに軽減税率を今導入しておくことで今後消費税を10%以上に上げていく場合に「軽減税率で低所得者対策はしています」と言いやすくなります。
まだ案の段階ですので今後の動向にも注目したいと思います。