みなし配当 ①

posted by 2025.11.12

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 法律の世界では「みなし」という言葉が時々出てきます。

「事実の有無にかかわらず、その事実があったものとして取り扱う」という意味合いで、労務関係では『みなし残業』『みなし労働時間制』、税金関係では『みなし相続財産』『みなし役員』『みなし配当』といった使われ方をします。

 

 最後の『みなし配当』形式的には会社法上の配当には該当しないものの、実質的には利益の配当と同じであることから配当として課税されるものを言います。

 『みなし配当』は次のような場合に発生します。

・合併や分割などの組織再編

・解散による残余財産の分配

・有償減資など資本の払い戻し

・自己株式の取得

 

 このうち上3つは特殊な状況なのであまり出てきませんが、最後の自己株式の取得については、役員からの株の買い取りや退職する従業員からの買い取りなど時々出てきます。

<例> 1株1万円で発行した株を会社が10万円で買い取り

・売り手の感覚:1万円で取得したものを10万円で売ったので、9万円が株の売却益

・税金の取扱い:取得価額の1万円を超える9万円部分は配当扱い

 元々1万円のものを10万円で買い取るということは株価が上がっているわけで、その出所は会社が積み上げてきた利益と考えられます。
この場合、利益を株主に渡しているという実質に着目して、9万円部分は『配当とみなして』課税されます。

 

 ここで注意が必要なのは、株の譲渡益と配当では税金が全く異なるという点です。

・非上場株の譲渡益:分離課税で税率20.315%(固定)

・非上場株の配当 :総合課税で税率15.105%~55.945%(累進)

 配当の場合は、所得が増えれば税率も上がる超過累進税率になっていて、配当が大きくなると株の譲渡益に比べて税負担が大幅に増えます。
極端な場合、半分以上が税金になってしまいますが、これは何とかならないのでしょうか。

(つづく)