役員報酬の減額 ②

posted by 2025.11.5

business_jitensya_sougyou_man

 前回の続きで役員報酬を減額できる要件について見ていきます。

 

 経営状況が”著しく悪化”していれば減額は可能ですが、例としては次のようなものがあります。
第3者である利害関係者との関係上減額せざるを得ないケースや客観的に業績悪化が見込まれるケースが想定されています。

 

<悪化している>

・株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員報酬を減額せざるを得ない

・取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケ協議において役員報酬を減額せざるを得ない

・業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員報酬の減額が盛り込まれている

・主要得意先が1回目の不渡りを出し、数か月後に売上げが激減することが避けられないため、経営改善計画を立てて役員報酬を減額した(現時点で悪化していなくてもOK)

・主力製品に瑕疵があることが判明して、今後、多額の損害賠償金やリコール費用の支出が避けられない

 

<悪化していない>

・一時的な資金繰りの都合

・単に業績目標値に達しなかったこと

・客観的な状況がない単なる将来の見込み

 

 現行の取扱いは会社が倒産の危機にあるような厳しめの要件になっています。
今後緩和される可能性はありますが、現状では上記のような例が一つの目安になります。
ただあくまで例であってそのまま当てはまらないといけないわけではありません。
実際にはケースバイケースで判断することになります。

 

 なお、役員報酬を変更するには、株主総会や取締役会での決議が必要です。
議事録を作成する際には、単に減額について決議するだけでなく、どんな事情で経営状況が著しく悪化しているか、その結果役員報酬を減額せざるを得ないということも文面に入れて残しておいた方がいいでしょう。