前回の続きで必要経費について見ていきますが、その前に似ている言葉について整理しておきます。
<売上関係>
・収入:現金ベースでの売上げや雑収入(売上等)
・収益:その期間に発生した会計上の売上等
・総収入金額:個人の事業所得や不動産所得を計算する上での売上等(発生ベース)
・益金:法人税法上の売上等の概念。収益とずれることあり
<経費関係>
・支出:現金ベースでの原価や経費(経費等)
・費用:その期間に発生した会計上の経費等
・必要経費:個人の事業所得や不動産所得を計算する上での経費等
・損金:法人税法上の経費等の概念。費用とずれることあり
「経費になる」と言う時は税金が安くなることを想定しているので、正確には「必要経費として認められる」「損金計上できる」ということを意味しています。
なぜ似た言葉なのに意味が違うというややこしいことになっているかというと、目的が異なるためです。
会計では期間損益を適正に計算して、社内での経営判断に役立てたり、株主や債権者が外部から会社の内容を正しく理解できるようにすることが目的です。
一方、税務は税金を正しく計算することが目的です。
いわば税金を取るための理屈もあります。
例えば、交際費は売上げを獲得するために必要であれば会計上”経費”になります。
しかし交際費を無条件に認めてしまうと、税金を払うぐらいなら交際費として使ってしまえということになり、無駄遣いも出てくるし、税収も減ります。
そこで交際費は原則的には法人税法上は”損金”になりません。
なお、中小企業の場合は年800万円の枠内であれば”損金”になります。
上記のような言葉の違いも踏まえつつ、必要経費(所得税)や損金(法人税)になるものについて次回科目ごとに見ていきます。