税制改正大綱5回目は中小企業の投資税制の延長です。
よく使われる「中小企業投資促進税制」と「中小企業経営強化税制」が令和7年3月末で期限を迎えますが、改正で2年延長されます。
一部内容も変更されるので確認していきます。
1.中小企業投資促進税制
① 概要
青色申告の中小企業者等が、一定金額以上の機械、ソフト、工具、貨物自動車、船舶を導入した場合に特別償却(30%)又は税額控除(7%)できる制度
② 改正内容
農業所有適格法人に関して一部改正はありますが、それ以外はそのままで2年延長されます(令和9年3月31日までに事業供用)
2.中小企業経営強化税制
① 概要
青色申告の中小企業者等が、一定金額以上の機械、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトを導入した場合に即時償却(100%)又は税額控除(7%・10%)ができる制度。
行政の確認や認定など事前準備がいる点、100%償却ができる点が1の投資促進税制との主な違いです。
② 改正内容
・共通項目:C類型以外は2年延長(~令和9年3月31日)、暗号資産マイニング用設備は除外
・A類型(生産性向上):生産性指標の一部変更あり
・B類型(収益力強化):投資利益率が5%⇒7%必要に、拡充もあり
・C類型(デジタル化):延長なし
・D類型(経営資源集約化):変更なしで延長
③ B類型の拡充
売上高100億円超を目指す中堅企業向けに対象資産追加などの拡充措置があります。
<経営規模拡大要件>
・工程表を作成
・申請直前の売上高が10億円超90億円未満
・事業基盤、財務基盤、組織基盤が整っている
・売上高100億円超及び平均10%以上の売上成長率を目指す投資計画
・認定日から2年以内の投資額が1億円以上(申請直前の売上高の5%以上との高い方)
・建物及び建物附属設備の新設又は増設がある
<その他要件>
・金額上限は60億円
・〇 国内 ✖ 海外
・〇 新品 ✖ 中古や貸付
・〇 生産設備 ✖ 事務用器具備品、本店や寮の附属設備、管理を丸投げするコインランドリー、暗号資産マイニング業、医療保険業、電気販売業
<対象設備>
・建物及び建物附属設備(合計1000万円以上)
・機械及び装置(160万円以上)
・工具(30万円以上)
・器具部品(30万円以上)
・ソフトウェア(70万円以上)
<優遇税制>
【建物及び建物附属設備】
・特別償却 15%(給与増加2.5%以上)、25%(給与増加5%以上)
又は
・税額控除 1%(給与増加2.5%以上)、2%(給与増加5%以上)
【機械、工具、器具、ソフト】(改正なし)
・即時償却
又は
・税額控除 10%(資本金3000万円超は7%)
<使用制限>
投資計画の期間中は「中小企業投資促進税制」や「少額減価償却資産の特例」は併用不可
B類型に建物が追加されたことが今回の目玉ですが、要件は多岐にわたるので事前の十分な検討が必要です。
税制改正大綱の解説の途中ですが、年内の投稿は今日が最後となります。
明日28日から1月5日まで年末年始休暇とさせていただきます。
来年もよろしくお願い申し上げます。