令和7年度税制改正大綱 ④ iDeCo

posted by 2024.12.26

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 税制改正大綱の4回目はiDeCo関係です。

 老後の資産形成を充実させる観点からiDeCoなど確定拠出年金の限度額引き上げが行われます。
一方で一時金で受け取った場合の退職金課税は強化されます。

 

1.iDeCo等の上限引き上げ

 全体的に掛金の上限を7,000円引き上げると共に、バラバラだった上限がある程度統一されます。

 

① 確定拠出年金の月拠出限度額の引き上げ

・第1号被保険者(個人事業主等):5.5万円⇒6.2万円

・企業年金加入者:2.0万円⇒6.2万円-厚生年金基金や企業型DCの掛金

・企業年金未加入:2.3万円⇒6.2万円

・60歳以上70歳未満で基礎年金や個人型DCを未受給:従来不可⇒6.2万円

 

② 企業型DC

・確定給付企業年金未加入:5.5万円⇒6.2万円

・確定給付企業年金加入 :5.5万円⇒6.2万円-確定給付企業年金の掛金

・マッチング拠出で本人の掛金が企業の掛金を超えらないという要件を廃止

 

③ 国民年金基金

・6.8万円⇒7.5万円

 

2.退職所得課税の強化

① 内容

 iDeCoなどの確定拠出年金を一時金(DC一時金)で受け取った場合には退職金として取り扱われ、勤続(加入)期間に応じた退職所得控除により税負担が軽減されます。
従来はDC一時金を受け取ってから4年空ければ、退職所得控除がリセットされていましたが、改正により9年空けることが必要になります。

 例えば、iDeCoには20年加入していて、会社は40年勤務して退職したとします。
従来は60歳でDC一時金を受け取って、65歳で退職した場合、間が4年空いているので勤続期間全体に応じた退職所得控除を使えました。
改正後はiDeCoに加入していた20年が重複するので、退職所得控除が20年分(800~1400万円)減ることになります。

 なお、退職金を先に受け取って、あとでDC一時金を受け取る場合、退職所得控除を満額使うには19年空ける必要がありますが、これは改正前後で変化はありません。

 

② 適用時期

・令和8年1月1日以後の一時金支払いから

 

③ 源泉徴収票の提出義務化

 従来は役員のみ退職金の源泉徴収票を会社から税務署に提出していましたが、令和8年からは従業員分も必要になります。

 

 iDeCo等を一時金で受け取る場合、タイミングによって税負担がかなり変わりますので、何歳まで働くかなどライフプランも考慮して、しっかり検討するようにしましょう。