前回「カード明細ではダメです」という内容を書きましたが、カード明細でもOKなケースもあります。
と言っても法人税や所得税ではあった方がベターで、今回は消費税のインボイスの観点で領収書がなくていいケースを取り上げます。
1.簡易課税
簡易課税は売上さえあれば消費税を計算できるので、仕入税額控除が関係なく仕入れや経費に関するインボイスは不要です。
2.少額特例
<内容>
中小企業の税込1万円未満の課税仕入れについては帳簿に一定事項を記載すればインボイスなしで仕入税額控除ができます。
<要件>
・基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下または特定期間(設立第1期前半)の課税売上高が5000万円以下
・帳簿には「相手方の名称、年月日、内容、対価」を記載
・税込1万円の判定は一取引ごと。1品ごとではありません。
・経過措置なので適用期間は2023年10月1日~2029年9月30日
3.公共交通機関特例
<内容>
3万円未満の公共交通機関への支払いはインボイスの交付義務が免除されているので支払う側もインボイス無しで仕入税額控除できます。
<要件>
・電車、バス、船舶が対象。飛行機、タクシーは対象外。
・帳簿への記載事項は2と同様。特例を使うことを明記(マーク等も可)。
・税込3万円の判定は一取引ごと。切符1枚ではありません。
・経過措置ではないのでずっと使えます。
4.出張旅費特例
<内容>
出張旅費や日当については従業員が立て替えた上で精算するという実務に鑑みてインボイス無しで仕入税額控除できます。
<要件>
・3と異なり、飛行機やタクシーも対象
・帳簿への記載事項は2と同様。特例を使うことを明記(マーク等も可)
・金額の上限は無し。ただし通常必要と認められる範囲に限られます。
・経過措置ではないのでずっと使えます。
5.ETC
<原則>
・ホームページからダウンロードした利用明細が全て必要
<例外>
・カード明細+任意の一取引の利用明細があれば仕入税額控除できます。つまり高速道路会社ごとにサンプルが1つあればOKです。
・経過措置ではないのでずっと使えます。
いろいろ特例があってややこしいですが、うまく使って事務負担を軽減していきましょう。