国税庁の発表によると令和5年度の相続税の物納申請は年間23件しかなく、前年の52件の半分以下だったようです。
税額ベースでも53億円で前年の91億円の約半分です。
最も多かったのがバブル崩壊の真っ只中である平成4年で、件数で約1万2千件、税額で1兆5645億円ありました。
当時と比べると件数で500分の1,税額では300分の1に減っています。
<多かった理由>
・バブル景気による急激な土地の高騰で相続税が払えないほど高かった
・売って払うより物納の方が相続税を多く払えた
バブル期には年間10~20%上昇することはザラで、東京都心部では1年で50%上昇する地点もありました。
路線価は時価に少し遅れるところもあるので、バブル崩壊の初期は「路線価>時価」となることもありました。
すると売っても払うことができず、土地のまま払った方が多くの税金に充当できた時期もありました。
<減った理由>
・生前に相続税を試算して対策する人が増えた
・売却して相続税を払った方が有利
・延納して分割払い、または銀行で借入をして納付している
・物納の手続きが煩雑
相続税改正の影響や金融機関の積極的な営業の影響もあり、生前から相続税を意識して対策する方が増えています。
生前にマックスの相続税を計算しておけば、納税資金を保険等で用意する、資産を運用して納税資金を貯めていく、など対策を打つことができます。
延納(分割払い)は不動産等の割合にも寄りますが。最長20年で分割できます。利子税(金利)は法改正と金利の低下により、0.1~0.7%まで下がっていて銀行で借入をした場合と大きくは変わりません。
手続きが煩雑であることも物納が減っている理由の1つで、令和5年度の23件の申請のうち16件は物納が認められていますが、5件は要件を満たさなかったのか取り下げられています。
国としてもモノで税金を受け取って塩漬けにするわけにいかないので、処分して現金化しやすい状態でないと受け取ってくれません。
どういった財産なら物納で受け取ってくれるかについては長くなるので次回へ続きます。