前回の続きで準確定申告の収入や経費について、通常の確定申告と異なる点を中心に確認していきます。
1.収入
<給与>
・締め日前に亡くなって、死亡後に相続人に支払われた場合には、被相続人の所得ではないため、準確定申告に含まれません。
・源泉徴収は行われず、相続財産として計上します。
<年金>
・亡くなった後に支給される年金は被相続人の所得にはならず、準確定申告に含まれません。
・未支給年金の請求権は相続人にあるため、相続人の一時所得になります。したがって相続財産にも計上されません。
<配当>
・効力発生日後に亡くなった場合は準確定申告に含めて、未収配当は相続財産になります。
・配当基準日前に亡くなった場合は準確定申告に含まれず、相続財産にもなりません。
・配当基準日と効力発生日の間に亡くなった場合も準確定申告には含まれませんが、配当期待権は相続財産に該当します。
2.経費
<固定資産税>
・納付書は毎年4月頃に届きますが、亡くなる時期がその前か後かで取扱いが変わります。
・納付書が届く前に死亡
⇒被相続人の経費にはできません。ただし基準日が1月1日なので相続税で債務控除はできます。
・納付書が届いた後に死亡
⇒年税額、実際に支払った金額、納期限が到来している金額の3つのいずれかを選択できます。被相続人と相続人の所得を比較して有利に選択することも可能です。
<事業税>
・事業税は通常翌年に送られてきますが、準確定申告の場合は翌年の申告がありません。そのため事業税の額を逆算して準確定申告で前倒しで経費計上します。
・事業税=(青色申告前の所得-290万円)×5%で計算しますが、控除する290万円は年額なので、準確定申告の場合は月割りします。
・亡くなった時点では当然未払の状態なので、相続税の債務控除ができます。
所得控除については次回へ続きます。