年末調整リターンズ2023 ⑦扶養控除

posted by 2023.12.11

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 年末調整7回目は扶養控除です。

 異次元の少子化対策の一環で児童手当が拡充される見通しですが、それと引き換えに扶養控除の縮小が検討されています。
従来から児童手当のある中学生以下の子は扶養控除が既になくなっていますが、高校生にも児童手当も出すなら扶養控除も縮小されるべき、というのが財務省の発想です。
「どこが異次元やねん!」というツッコミも聞こえてきそうですが、このあたりの話は税制改正大綱で内容が明らかになった時点で詳しく解説します。

 

 今回は現状の扶養控除を確認します。

 税法ではよく似た言葉でも意味がちょっとずつ違ったりします。
扶養親族で言うと【扶養親族】【控除対象扶養親族】は別モノで税金の扱いが異なります。

【扶養親族】とは、給与などの所得で扶養されている合計所得金額が48万円以下の子や両親を言います。
その扶養親族のうち、16歳以上の人【控除対象扶養親族】と言われ税金が安くなる対象です。
16歳未満の子はと言うと【扶養親族】ではありますが【控除対象扶養親族】にはなりません。
扶養控除等申告書でも16歳未満の子を区別するために下の方に分けて書くようになっています。

 

 さらに【扶養親族等】という用語が申告書に出てきます。
所得金額調整控除の要件のところです。
年収850~1000万円の場合、給与所得控除が縮小されて増税となっていますが、以下のような特別障害者がいる世帯子育て世帯ではその増税分が帳消しになります(下3つが【扶養親族等】)。

・本人が特別障害者
・同一生計配偶者が特別障害者
・扶養親族が特別障害者
・扶養親族が23歳未満(平成13年1月2日以後生)

 

<誰で控除する?>

 夫婦共働きで控除対象扶養親族がいる場合、夫か妻のどちらか一方でしか控除出来ませんので、より多く稼いでいる方で控除すべき、ということになります。
さらに言うと、扶養控除は生計一親族であればいいので、生計一の祖父母の所得がより大きければ、祖父母の控除対象扶養親族にする方が税金的には有利になります。
住民票での世帯がどうなっているかと所得税を計算する際に誰から扶養控除するかは別の話です。

 扶養控除(38万円)でどれだけ税金が安くなるかと言うと、例えば夫の年収が600万円の場合、所得税で7万6千円(税率20%)、住民税3万3千円(税率10%)の合計10万9千円安くなります。

 

<控除額の種類>

 控除額は19歳以上23歳未満の子(大学生の年齢)、70歳以上の両親、その両親と同居などの場合、控除がさらに大きくなります。

①19歳以上23歳未満(特定扶養親族)…63万円

②70歳以上で別居両親(老人扶養親族)…48万円

③70歳以上の同居両親(同居老親等) …58万円

 

<非居住者の扶養控除>

 令和5年から非居住者の扶養控除の範囲が縮小されています。

≪改正前≫
 非居住者である扶養親族の要件は16歳以上

≪改正後≫
 30歳以上70歳未満の場合は次のいずれかの要件が必要
・留学生(留学ビザ等の書類必要)
・障害者
・国内居住者から生活費や教育費に充てるための支払いを年38万円以上受けている。

 

 次回は扶養控除以外の人的控除を見ていきます。