特定支出控除とキャリコン

posted by 2023.05.26

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 サラリーマンでも経費を落とせる制度として「特定支出控除」があります。

 

 概算経費である給与所得控除(給与の10~40%、最低55万円~最高195万円)以上に次のような経費を使った場合には追加で控除が可能です。

1.通勤費
2.職務上の旅費
3.転居費
4.研修費
5.資格取得費(弁護士、会計士、税理士等の学費含む)
6.単身赴任者の帰宅旅費
7.勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等で上限65万円)

 

 これらはどこまでが特定支出に該当するか判断が難しい部分があるので、勤務先が証明することになっています。
ただ、副業を想定して資格取得する場合など勤務先には証明書を依頼しにくいようなケースもあります。

 

 そこで一定の教育訓練に関しては勤務先ではなく、キャリアコンサルタントによる証明でも可能になるよう改正がありました。
改正は令和5年分の所得税から適用されます。

 一定の教育訓練というのは厚生労働大臣の指定する「教育訓練給付指定講座」のことで、簿記、TOEIC、宅建、各種自動車免許、看護師、栄養士など様々な資格が対象となっています。
教育訓練給付金は3段階あり、「一般」で20%(上限10万円)、「特定一般」で40%(上限20万円)、「専門実践」で50%(上限40万円)が給付されます。
このうち「特定一般」と「専門実践」では、訓練開始日の1か月前までにハローワークでキャリアコンサルタントによるコンサルティングを受けてジョブカードを作成する必要があります。
教育訓練の実施においてキャリアコンサルタントが関わっていることから、キャリアコンサルタントによる証明でも特定支出控除が受けられるように改正が行われます。

 

 特定支出控除は徐々に緩和されてるとは言え、使っている人はまだ2000人程度と給与所得者10万人あたり3人しかいませんが、リスキリングの観点や副業の拡がりから今後は増えていくかも知れません。