一次相続と二次相続 ①

posted by 2022.10.13

family_kakeizu

 夫婦と子ども2人の家族の場合、夫婦のいずれかが亡くなることを「一次相続」と言い、その後夫婦のもう一方が亡くなることを「二次相続」と言います。

 配偶者が相続した場合には1億6000万円までは相続税がかからないので「うちはそんなにないから絶対大丈夫」と思っておられる方も多いですが、二次相続まで考慮すると配偶者が多く相続することが有利になるとは限りません。
 夫婦は年代が近く二次相続も遠くない未来の出来事なので、二次相続の相続税も考慮した上で、一次相続での分け方を考える必要があります。

 

 元は同じ財産であっても相続税の合計負担額が変わる要因として次のようなものがあります。

① 配偶者の税額軽減
② 基礎控除額
③ 超過累進税率
④ 小規模宅地等の特例

 

① 配偶者の税額軽減

 二次相続では親から子への相続となるため、当然配偶者の税額軽減は使えません。
配偶者の相続分が半分あるいは1億6000万円までは相続税がかからないため効果は大きいのですが、一次相続で目いっぱい使うかどうかは二次相続もシミュレーションした上で検討する必要があります。

 

② 基礎控除額

 相続財産から引ける基礎控除額は「3000万円+600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。
二次相続では人数が減るのでその分課税対象は増えます。

 

③ 超過累進税率

 相続税は財産が多いほど加速度的に税率が上がるため、財産が集中するほど税率は高くなります。
法定相続人の数が減るとその分財産は集中するため、相続税は増えます。

 

④ 小規模宅等の特例

 自宅の土地については小規模宅地等の特例を使うと8割の圧縮が可能ですが、様々な要件があります。
配偶者が相続する場合は無条件で適用がありますが、子どもが相続する場合は同居していた、あるいは”家なき子”であることなどが条件です。
条件が狭くなるため、二次相続で適用を受けられるかどうか想定しておく必要があります。

 

 実際には数字を当てはめてみて一次二次あわせての税負担を検討することになります。

 今回は相続税の仕組みによる違いでしたが、次回は節税の観点を踏まえて一次二次の違いを見ていきます。