前回の続きで税務調査の準備について見ていきます。
③ 書類の準備(1~2週間前)
調査が来ることが決まり、税目や対象期間が明らかになるのでその期間分の書類を準備します。通常は3年分必要です。
・決算書申告書(税務署は持ってこないため)
・基本の帳簿:総勘定元帳、仕訳日記帳、固定資産台帳
・各種帳簿 :売上帳、仕入帳、現金出納帳等
・通帳
・在庫表(最終版及び当初集計分)
・領収書及び請求書綴り
・給料関係(タイムカード、源泉徴収簿、年末調整資料等)
・退職金関係(受給申告書、退職金規定等)
・設備投資関係(見積書、特別償却の証明書等)
・議事録関係(株主総会、取締役会、稟議書等)
・契約書関係(賃貸、売買、保険、リース等)
④ 会計事務所での準備(1か月~1週間前)
・3期比較決算書の作成
税務署の担当者は3年あるいは5年の比較表を作ってイレギュラーな動きがないかをチェックしています。
税理士も同じ視点で書類を作成して聞かれそうなことを想定します。
売上比で大きく変動している経費や資産負債で動きの大きいものについては内容や原因を調べます。
粗利率についても変動が大きければ理由が説明できるよう会社にヒアリングします。
・論点の整理
対象期間の出来事を整理し、聞かれそうな内容を想定します。
例えば、大型の設備投資で消費税が還付になった、退職金や除売却損など臨時損失の発生、海外取引の増加、関連会社との取引内容などです。
⑤ リハーサル(1週間前)
③④を踏まえて、税務調査の1週間ほど前にお客様と打合せをします。
想定問答をしながら税務署が気になっていることに回答できるよう準備をします。
その際に対応する上でのコツや注意点も説明します。
聞かれたことだけに答える、分からない点は「調べます」で後日回答する、嘘は絶対にNGといった対応が基本になります。
ここまで準備をしたらあとは来てからのアドリブです。
別に何も悪いことはしていませんので落ち着いて対応すれば大丈夫です。
準備も大事ですが一番大事なのは、いかに普段から根拠を明確にして正しく処理しているか、あとで見て分かるように資料をちゃんと残しているかといった基本的な部分になってきます。
調査が来てから慌てるのではなく、普段から調査に耐え得る判断や処理を行うようにしましょう。