令和4年度税制改正大綱 ⑥ 所得税

posted by 2021.12.20

money_zaisan

 税制改正大綱の6回目は所得税関連です。

 住宅ローン控除については2回目で取り上げたのでそれ以外の所得税関連で影響の大きいものを見ていきます。

 

1.配当の源泉徴収

<概要>
 100%子会社から配当を受け取った場合、益金不算入となり親会社では法人税は課税されず、二重課税が起こらないようになっています。
配当を受け取った際に源泉所得税が20.42%天引きされますが、還付申告すれば全額戻ってきます。
この「どうせ戻ってくる源泉所得税」は意味なく手間がかかるだけなので改正により源泉徴収が不要になります
企業では事務負担が減り、国としても還付の際の還付加算金がなくなります。

<対象>
・100%子会社から受け取る該当

・直接1/3超の株を保有する内国法人から受け取る配当

 

2.買換え等

<延長>

 令和3年末で期限を迎える次の措置法の特例等が令和5年末まで2年延長されます。

・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除

・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除

・居住用財産の買換え及び交換

 

<要件追加>

 居住用財産の買換えや交換の特例における買換え資産については改正により一定の省エネ基準を満たす必要があります(R6.1.1以後の建築確認又はR6.7.1以後の登記分)

 

3.財産債務調書

<提出義務者> ※強化

・現行:所得2000万円かつ財産3億円超または国外転出特例財産(株やデリバティブなど)1億円超

・追加:現行+財産10億円超のみ(所得0でも要提出)

<提出期限> ※緩和

・現行:翌年3月15日

・改正:翌年6月30日

<記載内容> ※緩和

・現行:家庭用財産(現金、書画骨董、貴金属等)で100万円未満は不要

・改正:300万円未満まで不要

<宥恕規定> ※強化

・現行:調査があって更正又は決定があるべきことを予知して提出したものでなければ過少申告加算税を軽減

・改正:軽減を調査通知前に提出された場合に限定