税制改正大綱の3回目は贈与税と相続税です。
贈与税については110万円の基礎控除がなくなるような噂もありましたが、蓋を開けてみると、検討事項として「精算課税と暦年課税のあり方を見直すなど相続税と贈与税を一体的に捉えて課税する」という記述があったぐらいで大きな改正はありませんでした。
何点か改正はあったので贈与税や相続税関連の主なものについて確認しておきます。
1.住宅取得資金贈与(令和4年~)
<適用期限>
・令和3年末から令和5年末まで2年延長
<非課税限度>
・耐震、省エネ、バリアフリー住宅:1000万円
・上記以外:500万円
<要件>
・契約時期で非課税限度額は変わらず
・中古の場合の築年数要件を廃止
・昭和57年以降建築であれば新耐震基準適合とみなす
・受贈者の年齢要件を20歳以上⇒18歳以上に引き下げ(令和4年4月1日~)
2.事業承継税制の緩和
<特例承継計画>
・提出期限:令和5年3月31日⇒令和6年3月31日まで1年延長
・移転時期:令和9年12月31日で変わらず
法人版事業承継税制は中小企業の円滑な事業承継を進めるための特例で、令和5年3月31日までに簡単な計画書を提出し、令和9年末までに贈与や相続で株を移転した場合に税負担を大幅に軽減する制度です。
この第一段階の計画書の提出期限がコロナの影響を考慮して1年延長されました。
なお、あくまで期間限定の特例なので令和9年末終了という期限は今後も延長しない!と宣言しており、早期の事業承継を促しています。
3.市役所と税務署の連携
<死亡届の提出があった場合の通知>
・戸籍情報を翌月末までに国税庁に通知することを義務化
・固定資産課税台帳の情報を翌月末までに税務署長に通知することを義務化
従来からもある程度の情報共有はあったはずですが、義務化することでよりタイムリーに情報共有を行うようです。