ピカソと物納

posted by 2021.09.24

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 ピカソの未公開作品がフランスで物納されたことがニュースになっていました。

 物納したのはピカソの長女のマヤさんで、贈与税の支払いに充てたそうです。
作品としてはピカソの絵画6枚、彫刻一つ、デッサン帳1冊のほか、ピカソが所蔵していた太平洋ポリネシアの人物彫像が1つ。
いくらの税金だったのかは公開されていませんが、未公開作品ということですごい金額だと想像されます。
作品は全てパリの国立ピカソ美術館に所蔵され、来年4月から展示されるそうです。

 

 税金をお金で払うのではなく、モノで払うことを”物納”と言いますが、日本にも美術品などのモノで払う制度はあります。

 

 ただし要件がいろいろあります。

1.現金納付困難

 延納(分割払い)によっても現金で納付することが困難

 

2.順番

 日本にある相続財産で次の順序で物納が認められます。

① 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
② 非上場株式等
③ 動産

 絵画などの美術品は ③ 動産 に含まれます。
3番目なので上位である土地に物納に適したものがあれば土地を先に物納しなければなりません。
このような順番が定められているのは受け取った国側で換金のしやすさや管理のしやすさを考慮しているためです。

 

3.管理不適格でない

<不動産>
・担保がついている
・所有権など権利について争いがある
・境界が明らかでない土地
・耐用年数を経過した建物 等

<株式>
・譲渡制限がついている
・所有権など権利について争いがある 等

 

4.手続き

 相続税の申告期限までに添付書類と共に申請

 相続税の申告期限と物納の申請期限が同時なので税金の計算を進めながら税務署とも調整して物納の準備を進める必要があります。

 

 美術品については元々第3順位であることからあまり利用されておらず、制度も複雑であることから、相続をきっかけに作品が散逸してしまうようなことも起こっていました。
そこで美術品の適正な管理と一般への公開促進の観点から美術品専用の物納制度が2018年に作られました。

 

 詳細は次回へ続きます。