日経新聞に『イデコの税負担周知不足』という題名の記事があって、どういうこと?と思って読んでみると、「イデコは拠出、運用、受取りの全てで税優遇があるとされているが、受取り時には実は税金がかかる」という内容でした。
確かにかかります。
受取りの方法としては一時金と年金がありますが、一時金の場合は”退職金”扱いとして次のように大幅な税制優遇があります。
<受取り時の税制優遇>
① 退職所得控除
・1年あたり40万円(20年超は70万円)の控除
・勤続30年なら、40万円×20年+70万円×10年=1500万円
・1年未満の端数は切上げ
・最低金額80万円(1年未満でも80万円)
② 1/2課税
・(退職金-退職所得控除)×1/2=退職所得
・勤続期間5年以下の役員には1/2課税なし
③ 分離課税
・給与や年金など他の所得と分離して所得税を計算
・所得税は超過累進税率なので所得が増えれば税率も加速度的に上がりますが、分離課税なら低い部分の税率も使えます。
この中で、① 退職所得控除については、勤続期間がポイントで、退職金を何度ももらう場合には調整があります。
これまでは退職金を何度ももらう人というと、複数の会社を経営しているか、天下りしてる人ぐらいで、一般の会社員には縁のない話でしたが、イデコにほぼすべての働く方が入れるようになったことから、退職金を2回もらうケースがこれから出てきます。
ただし、退職金を2回以上もらう全ての人が調整が必要かというとそうではありません。
複数回退職金を受け取っていても、前回が”前年以前4年以内”でなければ調整はありません。
”前年以前4年以内”というのは、今受け取ったとすると、令和1、平成31、30、29年中までが含まれます。
ではイデコの受取り時期をずらせばいいのかというとそうではなく、イデコの場合は残念ながら”4年”を”14年”と読み替えるルールになっています。
60歳で勤務先から退職金を受け取って、75歳でイデコを一時金で受け取れば何とかいけますが、実際には調整計算がいるケースが多そうです。
調整計算はちょっと複雑なので次回へ続きます。