年金改革法(私的年金編)

posted by 2020.06.19

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 昨日の続きで5月末に成立した年金改革法のうち私的年金について取り上げます。
私的年金とは公的年金に上乗せする保障する制度で、民間保険会社の個人年金、国民年金基金、企業年金、確定拠出年金などを言います。

 今回の改革法では、私的年金のうちiDeCo(個人型確定拠出年金)を中心に様々な変更があります。
方向性としては、自分で運用先を決められるイデコを拡充して、自力での老後資金準備を後押しするものです。

 

1.受給開始年齢の引き上げ

① 現行制度

・60歳~70歳の間に受給開始

・加入期間は10年必要

② 2022年4月~

・60歳~75歳の間に引き上げ(個人型、企業型とも)

 

2.加入上限引き上げ

① 現行制度

・60歳未満

② 2022年5月~

・イデコは65歳未満、企業型は70歳未満に引き上げ

 

3.企業型との併用

① 現行制度

・企業型とイデコを併用するには規約変更が必要でハードル高い。

・マッチング拠出(企業型の会社で従業員が掛金を上乗せする制度)は会社の運用商品からしか選べない。

② 2022年10月~

・規約変更なしで企業型とイデコの併用が可能に(但し合計で企業型の枠内)

・マッチング拠出の制度があれば、従業員はイデコも選択可能に。

※企業型の上限は他に企業年金がなければ月5.5万円。この場合のイデコの上限は2万円なので枠が空いていれば従業員が非課税(所得控除)で掛金を追加可能。

 

4.イデコプラスの拡大

① 現行制度

・イデコプラス(会社がイデコの掛金を補助する制度)は従業員100人以下の企業のみ。

② 2020年10月

・イデコプラスの対象企業を従業員300人以下まで拡大。

 

 一連の改革ですべての会社員がイデコを使えるようになります。
所得控除で節税効果のあるイデコを使って、自分で運用して老後資金を増やしやすくなると言えます。

 所得控除で税金がないためその分だけでも運用利回りがよくなりますし、長い目で見ればイデコを使うことで老後資金に大きな差が出ます。

 限度計算などややこしい部分はありますし、運用するために投資に関する研究も必要ですが、国にも会社にも頼れない時代が来そうなので使える制度は積極的に使っていきましょう。