軽減税率の特例【仕入】

posted by 2020.03.24

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 前回の続きで消費税の軽減税率分を区分する際の仕入に関する特例を見ていきます。

 

1.対象企業(売上げと同じ)
基準期間(法人:前々事業年度、個人:前々年)の課税売上高が5000万円以下
・売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難。

 

2.仕入に関する特例

① 卸売・小売

<算式>

・小売等軽減売上割合=軽減品目の課税売上/課税売上総額(税込)

 仕入れた商品をそのまま販売する卸売・小売は、仕入における軽減割合と売上における軽減割合が概ね一致するため、売上げを区分できれば仕入れも同じ割合と仮定して逆算します。

 

② 卸売・小売以外

<算式>

・課税売上げ×みなし仕入率(簡易課税)

 卸売・小売以外の業種に関しては計算方法の特例はありません。
その代わり、簡易課税制度を後付けで選択することができます。

 簡易課税制度は本来は、課税期間開始前の前事業年度末までに「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
ただし、軽減税率分の仕入れを区分できない事業者に関しては、進行年度中に届出を提出して、簡易課税制度を選択することができます。
簡易課税制度であれば、売上に「みなし仕入率」を掛けることで課税仕入れが計算できるので1つ1つ区分する必要はありません。

 

③ 適用時期

・令和元年10月1日~令和2年9月30日を含む課税期間

 売上げに関する特例は4年間認められていましたが、仕入れに関する特例は1年だけです。
通常は、令和元年10末決算~令和2年9月30日決算までの法人と令和元年と令和2年の個人が該当します。

 

 売上げに比べて、仕入れの特例の幅が狭く、期間も短いのは、相手方から請求書をもらうので区分できるはず、という考え方があります。

 3年後のインボイス導入時はより厳密な計算が必要になってきます。
まずは経過措置も利用しつつ、システム面や入力作業などの見直しをしていく必要がありそうです。