配当は申告すべき?③申告分離課税

posted by 2020.03.3

873edad10b29b96a336dc86390b67fc7_s

※内容と写真は関係ありません

 前回は配当控除で有利になる②のケースとその注意点を解説しましたが、今回は③の申告分離課税のケースです。

① 申告不要
 ほったらかしも可

② 確定申告で総合課税
 配当控除で節税

③ 確定申告で申告分離課税
 株譲渡損と損益通算で節税

 

 申告分離課税とは、”申告”するものの、給料など総合課税の所得と”分離”して固定税率を掛けて税額を計算する方法です。

 配当を申告分離にすると、所得税15.315%、住民税5%がかかりますが、これは源泉徴収されている金額と同じで申告しても結果は変わりません。
ただし上場株式の売却損があれば配当を相殺(損益通算)できるので、申告すれば節税になります。
配当も株も特定口座内にあれば、この作業も特定口座の中で自動的にやってくれますが、次の場合には申告しないと相殺できません。

・配当が特定口座に入っていない。

・株の売買を一般口座でしている。

・特定口座が複数あり、損が出てるものと益が出ているものがある。

・特定口座ではあるが「源泉徴収なし」

 

 なお、上場株式の売却損との相殺ですが、損失が大きくてその年で使いきれなかった場合は3年間繰り越して控除が可能です。

ただし、損益通算と繰越控除では「所得」の考え方が異なるので扶養控除・配偶者控除に差が出てきます。

 

<扶養控除・配偶者控除>

合計所得金額が38万円以下であれば適用可能。

合計所得金額は損益通算、かつ、繰越控除の金額で判定(同一年の所得で判定)

 つまり、損が出た年は損益通算して配当源泉を取り返しても扶養家族のままでいられますが、繰り越して使う場合は扶養家族から外れてしまうことがあるので、扶養控除や配当控除も踏まえて有利不利を判定する必要があります。

 

<国民健康保険>

総所得金額等を元に国民健康保険料を算定。

配当を申告分離課税した場合には保険料に影響しますが、損益通算や繰越控除でゼロになる場合には影響ありません。

・扶養控除のように損益通算と繰越控除で違いはなく、損益通算かつ繰越控除の金額で保険料を計算します。

 

 かなりややこしくなったのでまとめると、「上場株式の売却損があれば配当を申告分離課税することで所得税住民税の節税になるが、繰越控除を使うと扶養から外れてしまうことがある」というのが今回のメインです。

 

 次回は最近可能になった所得税と住民税を別々に申告する方法を取り上げます。