令和2年度税制改正大綱 ⑨ 節税封じ

posted by 2019.12.26

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 税制改正大綱9回目は節税封じのために打たれた改正をいくつか見ていきます。

 

(1)ソフトバンクの子会社配当

<概要>
 子会社に多額の配当(親会社は実質無税)を行わせることで時価を下げ、その後売却することで損失を発生させる行為を防止する措置が取られます。
具体的には簿価の1割以上の配当をした場合には、配当分を株の帳簿価額から減額するので売却損失が出なくなります
 ただし、租税回避目的でないケースもあるため、親会社子会社とも内国法人で、10年以上資本関係があり、通常の事業利益から配当しているような場合には規制は受けません。

 

(2)不動産の消費税還付

<概要>
 アパートやマンションの家賃収入は消費税が非課税とされているため、建築時の消費税についても控除できず還付を受けることができません
そこで金地金を繰り返して売買して課税売上げを「作り出す」節税が行なわれたため、課税売上割合にかかわらずアパートやマンション建築時の消費税は控除できなくなりました。

 ただし、建築当初は住宅貸付けしかない場合でも、あとで店舗貸付けが発生することもあります。そのため3年以内(翌々期末)に店舗貸付けや売却をした場合には平均を取って追加的に消費税を控除できることとされます。

<適用時期>
2020年(令和2年)10月1日以後の建築分
経過措置として、2020年3月31日までに契約された建物には適用されません。

 

(3)国外財産調書の見直し

<概要>
 国外財産調書については緩和と強化の両面で改正があります。
相続直後などの事情によりやむを得ず提出がない場合には加算税の加重が適用されなくなります。
逆に国税庁等の職員から資料の提示や提出を求められたのに原則60日以内に応じない場合には加算税が加重(15%→20%)され、軽減措置も縮小(5%→0%)されます。

<適用時期>
令和2年分以後の所得税や調書に適用
相続については令和2年4月1日以後

 

(1)(2)とも規制内容としては乱暴な感もありますが、目に余る部分があるので強行な手段に出るようです。
改正により通常の取引がとばっちりを受けても困るので規制が除外されるケースをしっかり確認しておく必要があります。