令和2年度税制改正大綱 ⑦ イノベーション強化

posted by 2019.12.24

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 税制改正大綱7回目はイノベーション(革新)強化へ向けた取り組みを取り上げます。

 

(1)オープンイノベーションに係る措置

<概要>
 ベンチャー企業の株式に出資しているだけで、その25%を損金算入できるようになります。具体的な損失確定ではなく、投資しただけで経費にできる点が活気的です。

<主な要件>
・投資するのは青色申告を行う一定の法人
出資先は設立10年未満のベンチャーで産業競争力強化法に定める一定の会社
増資による払い込みで金額は1億円以上(中小企業者は1000万円以上)
・損金算入した特別勘定は5年以内の配当や譲渡等があった場合には取り崩して益金算入

<適用時期>
令和2年4月1日~令和4年3月31日までの取得

 

(2)エンジェル税制

<概要>
 エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するための個人投資家への優遇税制で投資時の所得控除や売却損の繰越制度などがあります。
対象となる出資先の範囲にクラウドファンディングを行う設立10年未満の中小企業等が追加されます。
また利便性を向上させるために都道府県等へ提出する書類が簡略化されます。

 

(3)交際費の損金不算入制度

<概要>
 飲食店による需要喚起や経済活性化を促すために、交際費の損金不算入制度は2年間延長されますが、飲食費の50%損金算入特例については、対象から資本金の額等が100億円超の法人が除外されます。
なお、中小法人(資本金1億円以下の法人や資本金5億円以上の大法人の100%子会社)の800万円の限度額については変更ありません

<適用時期>
・2022年(令和4年)3月31日まで2年延長

 

 大綱では大企業の交際費を抑制して投資や賃上げを促す、という書き方でしたがちょっとこじつけっぽい感もあります。
飲食費の50%損金算入特例を導入したものの特に政策効果もなかったのでやめてしまおう、というのが実際のところのようです。