社員の個人事業主化 ①

posted by 2019.10.15

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 日経新聞にタニタの『働き方改革』の記事があって、税務や保険の面でも興味深いので取り上げてみます。

 

 改革の内容は一言でいうと”社員の個人事業主化”です。

 税務面では、外注費(事業所得)か給料(給与所得)かという所得税の論点と、それに付随して消費税を控除できるかという論点とがあります。
保険面では、社員であれば社会保険料が給料から天引きされますが、個人事業主であれば、自分で国民年金や国民健康保険料を支払うことになります。

 

 税務的な検証をする上では、制度の中身が重要なので箇条書きでまとめてみます。

<狙い>
・自ら仕事を生み出し、AIにはできない価値を提供できる人材が求められている。
・ポテンシャルを持つ社内の人材に、より自由に働きながらスキルを高めてもらい、報酬面でも報いる。

 

<懸念>
・リストラ? 残業時間の規制逃れ?
・収入が不安定になる。
・確定申告など手続きの煩わしさ。
・社会的信用力の低下。

 

<仕組み>
・社員との選択制で、希望者は退職して会社と業務委託契約を締結
契約上、3年間仕事を保証。
・契約時に業務内容や報酬を協議。従来の業務を基本業務、それ以外を追加業務と定義。従来業務の基本報酬は固定、追加業務の成果報酬は変動。
・相互扶助団体である共栄会を通じてリース契約することを検討中。

 

<本人のメリット>
働く時間や場所が自由で、会社にも管理されない。
⇒優先順位が明確になり、効率アップ。

・プラスアルファの業務にも報酬が発生し、社外での講演活動なども受けられる。
⇒仕事の幅が拡がり、収入もアップ。

 予想される懸念材料が仕組みの部分でカバーされていて、収入に関しても結果的に全員が増加しているようです。

 

 では税務的にどういう点に着目するかは次回見ていきます。