前回の続きでソフトウェアと株式の取得価額について見ていきます。
基本的には建物などの有形固定資産と同じで「資産の購入の代価+購入費用(引取運賃や購入手数料など)+事業の用に供するために直接要した費用」の合計額となります。
では次のようなものはどうなるのでしょうか。
Q1.ソフトウェア導入のコンサルティング費用
A1
導入を検討するためのコンサル料は取得価額に含めず経費でOK。
導入が決まってから仕様を詰めるための費用、設定費用は取得価額に含まれます。
Q2.パソコン購入時に組み込まれているパッケージソフト代
A2
パソコンを買った場合、本体だけということは稀でWindowsなどのOSやエクセルなどのアプリケーションが入っていることが多いと思います。
OSはパソコンを動かすために当然必要で取得価額に含まれますが、アプリケーションについては税理士でも意見が分かれるところです。
基本的には同時に買うと取得価額に含まれますが、ソフトだけあとで買ってきて自分でインストールすれば別の資産として経費OKです。
パソコンそのものを経費にできるかどうかの境界線は中小企業なら30万円未満(少額減価償却資産の特例)、大企業なら10万円未満なのでソフトウェア部分の扱いによっては区分が変わってきます。
なおプリンタなど周辺機器については独立して使えるもので通常別々に販売するものであれば、区分して10万円未満や30万円未満の判定をすることができます。
Q3.株式のデューデリジェンス費用
A3
M&Aを実施する際、株価の査定や法務財務リスクを事前に調査するデューデリジェンスを行うことがあります。
① 合併のためのデューデリ費用
・資産負債は包括的に引き継がれため、単なる調査費用として経費OK
② 買収のためのデューデリ費用
・買収の意思決定前で買収先の選定をすることが目的なら経費OK
・買収の意思決定後で買収額の決定等が目的であれば購入に要するものとして取得価額に含まれます。
・買収の意思決定前でも買収先が絞り込まれていて買収額の決定等が目的なら取得価額に含まれます。
・結果的に買収を断念した場合にかかった費用は経費OK
買収の場合の判定が細かいですが、金額が大きいだけに決算への影響も税務調査への影響も大きくなります。
交渉経緯などをヒアリングして確実に処理するようにしましょう。