アノ宇宙に行った方がバスキアの絵で巨額の利益を上げたことがニュースになっていました。
庶民としては一体どれぐらい税金払うんだろうと気になるところなので美術品売却の税金について整理してみました。
1.非課税
<概要>
貴金属や宝石、書画、骨とうなどで1点30万円以下のものは、家具や衣服と同様に生活用動産と扱われ、譲渡による所得は非課税となります。
<判定>
110億円>30万円で該当せず
2.譲渡所得
<概要>
絵画等で30万円超のものは総合課税の譲渡所得に該当し、超過累進税率により課税されます。
<計算>
・短期(5年以内):(譲渡収入-取得費-譲渡経費-50万円)× 税率(15~55%)
・長期(5年超) :[(譲渡収入-取得費-譲渡経費-50万円)×1/2]× 税率(15~55%)
<判定>
譲渡所得は一般の方が単発で売却するようなケースを想定しており、美術品を多く所有して売買を繰り返しているため、該当しないと考えられます。
3.事業所得または雑所得
<概要>
営利を目的に継続的に売買を行っている場合は、譲渡所得ではなく事業所得または雑所得に該当します。
事業所得と雑所得の違いは難しい論点で裁判でもよく争われますが、次のような条件を満たしていれば事業所得に該当します。
・営利性、有償性、反復継続性がある
・自己の計算と危険において独立して営まれている
・人的資源、物的設備が投入されている
・社会的地位が客観的に認められている 等
事業所得と雑所得はどちらも総合課税なので税率は同じですが、事業所得は損益通算ができることや優遇税制を含めて経費の幅が広い点で税メリットがあります。
<判定>
頻度や他の所得も考慮すると雑所得に該当すると考えられます。
<計算>
・雑所得:総収入金額110億円-原価62億円-手数料11億円=37億円
この37億円に超過累進税率(15~55%)がかかります。
110億円で売れたと言っても手取りベースとなると意外に少ないので税金の厳しさを改めて感じます。