インボイス制度の4回目は「買い手側」の処理です。
買い手側ではインボイスを元に仕入税額控除をしますが、例外的な処理もあります。
<インボイスなしでいい場合>
次のような取引はインボイスの交付を受けることが困難なので、帳簿に記載するだけでOKです。
・売り手側で交付義務が免除されるもの(公共交通機関、自販機、市場など)
・入場券等で使用時に改修されるもの
・古物営業、質屋、宅建業者などが消費者等※から仕入れるもの
・再生資源を消費者等から仕入れるもの
・従業員に支給する出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当等
※正確には「適格請求書発行事業者でない者」なので消費者以外も含まれます。
なお、簡易課税制度を選択している場合には、そもそも売上げの情報だけで消費税を計算するのでインボイスは必要ありません。
<免税事業者から仕入れた場合>
適格請求書発行事業者でない免税事業者や消費者から仕入れた場合、原則として仕入税額控除できませんが経過措置があります。
・令和5年10月1日~令和8年9月30日 :80%控除可能
・令和8年10月1日~令和11年9月30日:50%控除可能
・令和11年10月1日以降:控除不可
<税額計算>
令和5年10月1日以降は次のどちらかの方法で消費税額を計算します。
・積上げ計算:インボイス記載の消費税額を足し上げて計算
・割戻し計算:税率ごとの税込金額から割り戻して計算
売上げについては「割戻し計算」が原則、仕入れについては「積上げ計算」が原則となります。
ただし、組み合わせにはルールがあります。
売上げ【積上げ】⇒仕入【積上げ】のみ
売上げ【割戻し】⇒仕入【積上げ】【割戻し】どちらも選択可能
<現行制度との違い>
現行の「区分記載請求書等保存方式」では軽減税率や税率ごとの集計が請求書等に明記されていない場合に、メモで追記してもOKでしたが、インボイス導入後はその例外はなくなります。
現行制度は仮のインボイス制度のようなものなので大目に見てくれましたが、税率や税額を明記することはインボイスの大前提なので例外はなくなります。
(つづく)