未払いだと経費にならない?

posted by 2020.08.6

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 費用は払っていなくても確定していれば経費(損金)になります。
これを債務確定基準と言います。

 もう少し正確に言うと、① 相手との合意で債務が成立、② 原因となる事実が発生済み、③ 期末までに金額を合理的に算定できる、ことを要件に経費にできます。
例えば、請求書が届いて①③をクリアしても、モノやサービスの提供を受けていなければ②を満たさないので、今期の経費とはなりません。

 

 冒頭に「未払でもOK」と書きましたが、中には払っていないと税務上経費にならないものもあります。

 

<支払日が決まっているもの>

・事前確定届出給与(役員賞与)

 支払日を届けているのでその日に支払わないと経費になりません。

・決算賞与(従業員)
 
 決算賞与は期末から1か月以内に支払うのが要件なので、その日までに支払わないと今期の経費にはなりません。

 

<税務上の特例を使うため>

・短期前払費用

 家賃の年払いなどをした場合、本来は期間対応させるべきものですが、支払日から1年以内の期間分は支払った期の経費にできます。
これは支払ったという事実を重視して今期の経費にできる特例なので未払では受けられません。

 

 なお、コロナの影響等で役員報酬の支払いを止めていることもあると思います。
経費算入に関しては問題ありませんが、源泉所得税に関しては注意が必要です。
給料や配当の源泉所得税は、実際に支払う際に天引きして、翌月10日までに国に納めます
そのため、給料や配当が未払いであれば源泉所得税もまだ払わなくていいことになります。
ただし、そうなると国としてはいつまでも源泉所得税を徴収できないので、未払いの状態が1年続くとその時点で払うルールになっています。
実務的には払う時期を追いかけるのは大変なので、未払いであっても源泉所得税は先に支払ってしまうことが多いです。