住民税は所得税の情報を元に課税されるのが原則です。
サラリーマンであれば年末調整後の源泉徴収票を会社が市役所に提出することにより、翌年の住民税が計算されます。
確定申告する場合は、3/15までに税務署に提出された情報が市役所に通知され、翌年の住民税が計算されます。
その例外として、平成29年度税制改正により、上場株式等の配当や譲渡所得に関して、所得税と住民税で別々の課税方式を選択できることとなりました。
課税方式とは配当に関して言うと、前回まで見てきた ① 申告不要、② 総合課税、③ 申告分離課税の3つでこの組み合わせを自由に選ぶことができる、つまり”おいしいとこ取り”ができるということです。
配当に関する部分を所得別で見ていきます。今回は複雑なので復興税は省略します。
<例1 課税所得が330万円以下の場合>
A どちらも申告不要:20%
所得税: 15%(源泉徴収されて終了)
住民税: 5%(源泉徴収されて終了)
B どちらも総合課税:7.2%
所得税: 0%(5%-配当控除10%)
住民税:7.2%(10%-配当控除2.8%)
C 所得税は総合、住民税は分離:5%
所得税: 0%(5%-配当控除10%)
住民税: 5%(源泉徴収されて終了)
これ以外の組み合わせもありますが、税率はこの3つに集約されます。
この例ではCが最も有利で、所得税で配当控除を使いつつ、住民税では低い5%で源泉徴収されたものをそのまま残します。
<例2 課税所得が900万円超1000万円以下の場合>
A どちらも申告不要:20%
所得税: 15%(源泉徴収されて終了)
住民税: 5%(源泉徴収されて終了)
B どちらも総合課税:30.2%
所得税: 23%(33%-配当控除10%)
住民税:7.2%(10%-配当控除2.8%)
C 所得税は総合、住民税は分離:28%
所得税: 23%(33%-配当控除10%)
住民税: 5%(源泉徴収されて終了)
この例ではAが最も有利で、源泉徴収された20%で確定させます。
税率の区分で見ていくと、課税所得が900万円以下では、C有利、900万円超では申告することで税率が上がってしまうため、A有利ということになります。
また国民健康保険に関しても、住民税がACの申告不要であれば影響ありませんが、Bの総合課税になると保険料に影響しますので、合わせて有利不利を判断する必要があります。
複雑な制度ではありますが、その分節税の余地はあるということなので、専門家に相談しつつ判断していきましょう。