プリングルスはケーキらしい

posted by 2015.07.9

a0002_004896

 消費税の10%増税が近づく中、軽減税率についても議論されています。
現在、軽減対象に関して政府から3案出されています。

① 酒類を除く飲料食品・・・1.3兆円
② 生鮮食料品・・・3400億円
③ 精米・・・400億円

数字は軽減税率を8%とした場合にいくら減税になるかというものです。
ただ①の『酒類を除く飲料食品』では減税額が大き過ぎるし、③の『精米』だけでは公約との兼ね合いで難しいので、②の『生鮮食料品』の範囲について議論されています。

 今回の減税額試算では3400億円となっている『生鮮食料品』ですが、昨年の試算より200億円減税額が縮小されています。
これは『生鮮食料品』の定義が変わったためです。
前回は【家計調査分類】を使用していましたが、今回は【食品表示法の定義による】とされています。

どう違うかというと、食品表示法ではマグロの刺身単品は『生鮮食料品』ですが、アジの刺身などと盛り合わせにすると『生鮮食料品』ではなくなり、標準税率10%が適用されます。
野菜も単品は軽減税率が適用されますが、カットしてミックス野菜にすると標準税率10%になります。
消費者からするとかなり違和感がありますね。

しかし税法で『生鮮食料品』を一つ一つ定義することは現実的ではないので他の法令の定義を利用するしかありません。

 

 軽減税率を導入して歴史の長い海外でさえいまだに区別は判然としていません。
最近になっても《プリングルス》で裁判になりました。
ポテトチップスだと思って食べてませんでした?
作っている側はポテチではなくケーキ(消費税率ゼロ)を作っているのだと主張しました。
ポテトの含有率が半分以下だからだそうです。
判決は『プリングルスがポテチかケーキかは、専門家に聞くまでもなく、子供に聞けば分かる』とのこと。
現在の日本でも発泡酒や第3のビールの境界線の争いがまさにこれです。
軽減税率が導入されると、こうした商品が山のように出てくるのは間違いなく、消費者も生産者も税務当局も多大なコストや手続が発生する可能性があります。