役員在職中でも退職金をもらうことがあります。
例えば創業者である社長が後継者に社長を譲り、会長になる場合。
このような場合、要件を満たしていないと”退職とは認められない”と判断され、退職金が経費にならないので注意が必要です。
社内で役職が変わり職務内容が激変したことにより、実質的に退職した状況にある場合には、退職金として取り扱うことができます。(但し未払はダメです)
① 常勤役員⇒非常勤役員
② 取締役⇒監査役
③ 役員報酬がおおむね50%以上減少
これらは形式基準なので、実質的に経営上重要な地位にあったり(①②③)、大株主である場合(②)などは退職とは認められません。
具体的な事例として、役員退職金についても争われた昨日の裁決例を取り上げます。
(事例の概要)
・代表取締役を退任して平取締役になった
・退職金は最終報酬月額×在職期間15年×功績倍率3.0倍の計算で支給
・役員報酬は退職前の1/3、会社への出勤も月3~4回に減少
ここまでは問題ありません。しかし…
・代取を退いてからも主力商品の製造管理を行なっている
・銀行融資の打合せに参加している
・代取を退いてからも代表取締役の名刺を配っている
・前代表が株の1/2以上を所有している
このような事情を勘案して退職とは認められないとされました。
審判所の判断根拠として次のような考え方が述べられています。
・同族会社なので代表取締役の業務と平取締役の業務の線引きが難しい
・同族会社では経営判断する者かどうかだけでなく、その法人に不可欠な業務を行なう者か否かを考慮すべき。
まとめると、給料や肩書きなど形式基準を満たしても、重要な業務にタッチし続けたら退職とは言えない、完全引退に状態でないと退職金とは認めない、ということになります。
しかし事業承継の実務では、代表取締役を早めに譲ってサポートをしていく方がスムーズにいきます。
また退職金は会社に余力があるうちが支給しやすいですし、退職金の経費化で納税負担が減り承継がしやすくなる面もあります。
中小企業の事業承継をしやすくするための税制はいろいろできてはいますが、退職金の取扱いについても実情を配慮して欲しいところです。