先週の続きで使用人兼務役員のメリットと条件を見ていきます。
<メリット>
①賞与が支給できる
通常の役員には事前に届け出たもの以外、賞与は支給できません。
使用人兼務役員の場合、従業員としての給料分には賞与を支給できます。
(例)
役員報酬 10万円
従業員給料 30万円
賞与 従業員分30万円✕係数2.0=60万円
この場合の計算方法は同じぐらいの仕事をしている他の従業員と近い基準である必要があります。
役員報酬と従業員給料の区分については取締役会議事録などで定めておけば結構です。5~20万円ぐらいが一般的です。
②毎月変動してよく、残業手当や歩合給もつけられる
役員報酬は利益操作に使えるため、税法上は出し方が制限されています。
委任契約であるという前提もあるため、原則1年間定額でないといけません。
そのため、残業手当もなく歩合給もつけられません。
使用人兼務役員の場合は従業員分の給料については残業手当や歩合給もつけられます。計算方法は賞与の時と同様、従業員分を切り離して計算します。
③雇用保険に加入できる
役員は雇用されているわけではなく、会社とは委任契約であるため雇用保険や労災保険に加入できません。
使用人兼務役員の場合は、従業員としての身分があるため加入できます。
加入するには取締役会議事録等で兼務役員であることや従業員分の給料を証明する必要があります。
<条件>
メリットの多い使用人兼務役員ですが、なれない人もいます。
・代表取締役、副社長、専務、常務(従業員分がない役職のため)
・上位株主グループに属していること(事実上経営者に近いため)
上位株主グループは話せば長くなりますが、通常の同族会社であれば該当します。
微妙かなと思われるケースはお問い合わせ下さい。