戦争と税金

posted by 2014.02.25

ローマ

 塩野七生氏の「ローマ人の物語」によると、古代ローマでは紀元前からすでに相続税に相当する税金があったようです。
中世になると、他のヨーロッパ諸国でも導入されていますが、日本で相続税が導入されたのは比較的新しく、1905年(明治38年)に公布・施行されています。

 日本で導入されたのは、日露戦争の戦費調達が目的です。
1904年の開戦に際して、第1次非常特別税法により所得税や関税などが増税されていましたが、とても足りるものではなく、開戦翌年の1905年には早くも第2次非常特別税法が制定されました。
このときに所得税率の更なる引き上げなどとあわせて、相続税が導入されました。

 注目すべき点は、相続税は「非常特別税法」ではなく「相続税法」という単独の法律として成立していることです。つまり相続税は、戦費調達のための一時的なものではなく、最初から恒久的な税金として導入されたのです。

導入に際しては、「近親を失って悲しんでいるところに重税を課すのはかわいそうではないか」という声もありましたが、大きな混乱もなく受け入れられたようです。

 すでに100年以上の歴史ある相続税ですが、平成27年に大きな改正を控えております。
基礎控除額が6割に減少するという、かなりの増税です。
増税の理由は色々あると思いますが、戦費調達のためでない、という点は喜ぶべきことなんでしょうね。