不定期連載 関根稔先生の「税理士のための百箇条」を読み解きます
第69条 小さなピラミッド
関根先生はその昔、「裁判所の常識ではその通りですが、社会の常識では違います」と言って裁判官を怒らせたことがあるそうです。
確かに、怒ってしまう裁判官の気持ちも分かります。
でも裁判員制度が導入された理由の一つは、まさにそういうことなんじゃないかと思います。
裁判員制度が導入される際に、「裁判所の常識は世間の常識とズレているから」という意見を見た記憶があります。
でもこれは裁判官に限ったことではないですよね。
日本人1億人の常識であっても、世界規模で見れば60分の1の意見に過ぎないし、税理士7万人の常識も、日本人全員の中ではわずか0.07%の少数意見です。
みんな小さなピラミッドに住んでいるんです。
サラリーマンなら「自分の会社」という小さなピラミッドに住んでいます。
そしてこの小さなピラミッドが何万個も存在するのが現実の世界です。
自分の住んでるピラミッドの価値観を押し付けないこと、それが専門家の自制心。
関根先生はそうおっしゃいます。