出資持分のある医療法人で相続が発生した場合、多額の相続税が発生することがあります。
社員(株主)が出資持分を放棄することにより財産をなくすことは可能ですが、医療法人に贈与税がかかってしまいます。
こういった医療法人承継上の障害を除くため、「医業経営に係る相続税の納税猶予」が改正により創設されます。
一言でいうと現在ある「事業承継税制」の医療法人バージョンです。
<概要>
認定医療法人の持分に係る相続税を移行計画の期間満了まで猶予する
<要件>
- 担保の提供
- 認定医療法人…認定制度施行の日から3年以内に厚労相の認定を受けたもの
<税額の計算>
(通常の相続税額-持分だけで計算した相続税額)=猶予税額
<猶予税額の納付>
- 移行期間内に持分のない医療法人に移行しなかった場合
- 認定の取消しや持分の払戻しなど
<猶予税額の免除>
- 移行期間内に持分の全てを放棄
- 相続開始後、申告期限までに持分の全てを放棄(税額控除だが実質免除)
詳細な要件は今後整備されますが、医療法人にとっては大きな改正です。
なお生前に移行する場合には「医業継続に係る贈与税の納税猶予」の制度もあります。